「年代記」翻刻版、完成


粡町は何度も火災に遭っている。しかしわが家には二つの蔵があって、消失を免れた物が少し残っている。「少し」というのは、昭和の初め、家から出た縁者の保証で土地も物もかなり手放し、以来祖父の代、ぎりぎりで生き抜いてきた。その「少し」の中のひとつが「年代記」だった。そもそも金に替えれるものでもない。
東日本大震災の8年前、東北芸工大の竹原万雄(かずお)という日本史を研究する若い先生が訪ねて来られた。たしか南陽市出身の小関悠一郎先生と一緒だった。「東日本大震災で多くの貴重な古文書を失った。なんとか古文書を散逸、消失から守りたい」とのことだった。南陽市史史料編纂室の須崎寛治先生からの紹介のはずだ。その時お見せしたのが「年代記」だった。
私からすれば「雑多な記録」だった。その時々の「あったこと」「知ったこと」なんでも詰め込んだもので、考えてみるとこの「移ろうままに」もそんなものなわけで、私に流れる先祖の血を思わされるが、受け取りようによってはたしかに貴重な面もあったのだということが、竹原先生の解説、その翻刻の内容を読んであらためて思わされているところです。いずれネットでアクセスできる様にしたいと思います。この8年間、何回も通って来られてここまで仕上げられた竹原先生にほんとうに感謝です。まさかここまでこうなるとは思ってもいませんでした。
【追記 2.5.18】
東北芸工大のHPで紹介されていました。https://www.tuad.ac.jp/2020/03/84948/
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チュートリアル「古文書調査会」が『山形県南陽市宮内髙岡家所蔵 年代記』『山形市蔵王上野文書目録』を刊行しました。
本学の学生有志で組織したチュートリアル「古文書調査会」(担当教諭:竹原万雄 歴史遺産学科准教授)にて、以下の2冊の書籍を刊行しました。
『山形県南陽市宮内髙岡家所蔵 年代記』
本書は、髙岡染店(山形県南陽市)に伝来した古文書で、今から約200年前の江戸時代後半(1830年)から明治時代(1907年)までの様々な出来事を書きとめた貴重な資料です。
文化財調査をきかっけに発見し、9年間をかけ古文書の保存・活用への貢献も兼ねて解読を続けてきました。
江戸・明治時代を生きた人びとのリアルな生活が分かり、髙岡家はもちろん南陽市宮内、ひいては山形県の歴史の解明に活用できる内容となっています(本書籍の販売はしておりません)。
「年代記(一部)」
この記事へのコメント
ネットで見ることが出来るようになったら是非見たいです。
今年も終わりですね。良いお年をお迎えください。
答えは別記事にして今アップしました。
https://oshosina2.blog.ss-blog.jp/2019-12-26-2